十年一日という言葉は、長い歳月いささかも変わらないこととあり、成長もせず同じことを繰り返している様子は、どうも良い感じがしません。類語をみても旧態依然となっています。「悠悠と。」と私の十年は十年一日だったのでしょうか。
  前職の時代、ぼんやりと定年までこのままだろうと思っていました。しかし、急に職を辞することになり、何をするか、何ができるかを考えたのですが、特に専門分野のない自分に気づき戸惑いました。何かやらねば、と日々考えをめぐらせ、ついに、様々な分野の第一線で活躍するすばらしい友人たちがいることこそ自分の唯一、そして最大の財産だと思い至りました。以前から必要と思っていたこういう情報誌は、彼らの手を借りることができたら可能かもしれないと思ってしまったのです。出版の知識もなく、福祉分野の経験もない。自分自身もその時点で49才とまだ高齢者ではない。何の裏づけもないまま、帆を揚げてしまったのですから、無謀だったには違いありません。
  しかし、決めたらまっしぐら、わき目も少しは振りながらですが、突っ走りました。当時、北海道が募集していた企業化促進奨励事業に応募し、株主を募り、広告掲載を依頼しました。パソコンの習熟に励み、人に会い、いろいろなことを尋ねました。経理もかじりました。まだまだ不足ばかりですが、気がついたら十年が経っていました。
  人の好き嫌いははっきりしています。ちくしょうとか、なにくそという言葉がでそうな瞬間もなかった訳ではありません。そんなとき、なぜか電話や手紙で「この記事を読んで助かった」とか「面白かったよ」という言葉が届きます。すると、ヨッシャーとまた力が湧き、弱気の虫は消えてしまいます。そんな繰り返しの十年です。もちろんお叱りの言葉や間違いを指摘する声も届きます。それも力になります。熱心に読んでくださっている証しですから……。  
  創刊以来、今号を除けばページ数も文字サイズも表紙を絵画が飾ることも変わりません。十年一日の如しです。こうしてこれまでの表紙を並べてみると壮観です。好きな作品ばかりを見ていると、嫌なことや辛かったことは忘れてしまいます。
  継続は力なりとよく耳にします。「続けることで力がつく」のか「続けていくには力が要る」のか、どちらなのでしょうか。とりあえず十年は過ぎました。力もついたし、力も要ったと思うことにしています。もちろん関係者や読者の皆さんのご協力があってこそですが。
  来春、60歳になります。平均寿命まではまだ20年ちかくあります。あと何年「悠悠と。」を出せるでしょうか。少しでも長く続けるためには、もっと力が要るし、力をつけなければなりません。そのときに初めて十年一日から日進月歩になり、面目躍如となるかもしれません。
  これからもどうぞよろしくお願いいたします。